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自己愛性人格障害の診断基準の1つ、「誇大な感覚にとらわれている」とは
「誇大な感覚にとらわれている」メカニズム
自己愛性人格障害の診断基準の1つに、「誇大な感覚にとらわれている」という項目があります。これは、自分は特別であり誰よりも優れている、自分こそ偉大なリーダーであると何の根拠もなく信じて疑わない症状です。理想の自分を脳内で空想し、それが現実であると思いこんでおり、その考えをもとに行動を起こします。自分は万能の神であり、他人は無条件に自分にひれ伏すのだと認識していることも少なくありません。
健常な認識機能をもつ人間は、自分の言動に対する周りの反応から、自分の誤った認識を正し、現実世界にそった自己像を形成していきます。しかし、自己愛性人格障害をもつ者は、他人の気持ちを読み取る共感能力が欠如しているため、自分が思い描いている理想の自己像を一方的に肥大化させていきます。
「誇大な感覚にとらわれている」ことによる人間関係におけるトラブル
自分は特権階級である、万能であると信じて疑わないため、人間関係では多くのトラブルが起こります。人間は誰しも間違いがありますし、それを他人から指摘されることも日常の中にはあります。
誰しも他人の指摘には耳が痛いものですが、自己愛性人格障害をもつ者の場合、自分の全てを否定されたと激高し、相手を激しく拒絶したり攻撃したりします。根拠のない万能感の裏側には、脆く傷つきやすい自己像が存在しているため、ささいな指摘も受け入れることができないのです。
宗教家、祈祷家を名乗って教義という大義名分のもと金銭をだまし取ったり、治療と称して医学的に根拠のない処置を行い患者を死なせたりして逮捕される事案も散見されますが、本人は心の底から「自分は絶対に正しい」「自分は万能の神である」と信じて疑わないなど、診断基準と丁寧に照らし合わせると自己愛性人格障害の特徴を有する場合も少なくないのです。
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